私はいい人なんかじゃないんです。
だって、人の悪口をいうし、嫌いな人もいるし。
自分は全然いいところないと思う!
そういう人に、私は逆にこういう。
「あなたが悪口も言えない人なら、心配するよ!
悪口って、悪いことじゃないのよ。
自分の気持ちを出しているだけなんだから」
もちろん、誰かれかまわず悪口言ってしまったら、自分の信頼も失うでしょうし、
いいことなんてないので、
悪口を言うことを勧めているわけではない。
愚痴が出てしまう自分を許し、カウンセリングなどの安全な場所で出すのは
健康的なことだと思う。
そして、そういう「嫌な自分」がいるのは当たり前のこと。
今日は嫌な面がある自分も、重要な存在だということをお話ししたいと思います。
目次
自分の醜さを受け入れることについて考えてみる
ドラマセラピーのグループに、とても可憐な女性が参加してくれた。
彼女もカウンセラーだそうで、学びの一つして参加してくださった。
ところが、ドラマセラピーのワークを展開させていくうちに、
彼女は、うっかり「とても意地悪な女の人」を演じてしまった。
演じようとしてそれが出るのではなく、シーンが展開していくと、自然に出てくる役割がある。
それがドラマセラピーの素敵なところ。
ドラマセラピーは、自分のいろんな面に出会える場所。
意地悪な部分は、誰にだってあるのだし、単なる演技なのだから、笑って楽しめればいいのだけれど、彼女は違った。
明らかにショックを受けていた。
「こんなの私じゃないです、わたし、こんな意地悪じゃないわ」と。
大丈夫だよ、あなたはきっと本当に優しい人だと思う。
でもこういう一面もあっていいし、別にそれを表に出しているわけではないのだから問題ないんですよ、
と説明したのだけれど、
彼女はもうどうしてもそんな自分を受け入れることができないらしく、
こんな姿は私ではないし、そんなことをさせられたのが気分が悪い、とそのまま帰ってしまわれた。
え!そんなことないのに。その自分を受け入れてあげてもいいのに・・・
可憐な彼女に多少の毒があるのが素敵なのに、
そんな自分を見てあげてほしいな・・・
フォローができないまま、彼女を見送り、私はなんだか悲しい気持ちになってしまった。
ので、いつか彼女がこれを見てくれたらいいなと思います。
彼女は自分に厳しく、そして本当に優しくいい人だと思います。
きっと仕事でも、いいカウンセリングをされているでしょう。
いい人であることを自分に律しているのは大変だろうし、きっとそういう意味でとても強い方だと思います。
だからこそ、意地悪な自分を許すことができなかったのでしょう。
でも意地悪な毒のある彼女を、素敵な彼女に加えてもらえたら、彼女はもっと素敵だろうなと私は思っています。
もしも、いい人でい続けることが大変になったら、
そして自分の嫌な面がまた出てきてしまったら、ぜひ戻ってきてもらえたら嬉しいです。
だって、いい人でしかない人は、本当はとっても気持ち悪いし、
そもそもそんな人間いないし、
クライエントさんも、そんなにも清廉潔白な人を前にして、安心して自分の醜さに向き合えないでしょ。
毒を出して、より美しく!
ドラマセラピーの中で、私が多分一番好きなのは、
毒を出すことができる、いやーな意地悪な役割を演じることができること。
グループでも、意地悪な女性や悪女などをとことん演じてもらうことがあります。
そしてみなさん、結構楽しんでいかれます。
普段はできないことだけれど、役の力を使って、
架空の場面だからできること。
みなさん、生き生きと演じ、意地悪であることが楽しくなっていきます。
もちろん、最初に書いたカウンセラーの彼女のように、
抵抗を感じる方もいます。
そして、悪女になりきれずに、いい人のままってこともあります。
でも大体、いつかああやって毒を出したい!という感想も話されます。
楽しんで悪女を演じていても、みなさん元々がいい人なので、悪女がいいやつになっていったり、
憎めないよね、こんな可愛いところもあったんだ、苦労してたんだね・・・なんていう
悪女が見せない裏の面まで見えてしまったりして、
そうよね、私たちって、悪いだけじゃないのよね、と納得していく。
悪女の性格の悪さの裏には、果てしない心の傷があるもの。
そうしながら、
自分の中にある、「嫌な面」も受け入れていく。
そういう部分があってもいいよね。
その裏にはこんな思いがあったのよね。
そんなふうに、意地悪な役割は、私たちが受け入れにくい
醜い自分を理解させるお手伝いをしてくれるし、
私たちのいい面も引き出してくれるのです。
これは実生活ではできないことなので、
ドラマのいいところなのです。
嫌な面を受け入れて、バランスをとる
クライエントさんの多くは、嫌なことがあっても、我慢してしまう方が多い。
なので、安心して愚痴を言えるように、私にはいくらでもメールを書いていいことになっている。
関係ない人に愚痴を言ってしまうと、それがどう使われてしまうかわからないし、
安全ではない場所で、本心をさらけ出すのは、危険なこともあるから。
自分が誰かのことを悪く思ってしまったり、
嫌いな人ができてしまうことは、
悪いことではなく、自然なことなのだ、と知ること
そしてそんな自分を受け入れてあげることで、
私たちは、よりバランスが取れていくと思う。
自分が自分を否定するのをやめて、
自分を受け入れるということ。
どんな自分であっても、それでいいんだよって。
そうすると、今までいらっとしていたことが、
だんだん気にならなくなっていく、ということもよくあることなのです。
だから、自分の嫌な面が見えてしまったら、
その自分を許してあげて、
少しでもいいから、そんな自分を愛でてあげてください。
できれば、そんな自分を楽しめるとますますいいです。
そうすると、きっとよりバランスが取れた自分に出会えるはず。
今日もお読みくださりありがとうございました。
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