Mission

前例がないから進めないのではなく、私たちはその前例を作っていくんだよ

私が嫌いな言葉に、「前例がない」というものがある。
前例がないからなんなんだ、と思うけれど、
その言葉で、「だからできない」と片付けてしまう傾向が、日本社会にはあると思う。
英語では unprecedentedという単語なんだけれど、
私が恋愛心理を学んでいた頃、
この同じ言葉を、今までにないことができるようになったのよ!という感じで、
先生たちが語っていた。
つまり、女性が好きなように生きること、好きなように恋愛できるようになったこと、
結婚するしない、子どもを持つ持たないという自由を自分の意思として持てるようになったことを。
それこそこの同じ「前例がない」という意味の持つ言葉で表し、
「歴史的にみて、今までなかったことができるようになった」という意味で使っていた。

何度もいうようだけれど、
私たちは、幸運にも、女性が自分の人生を、自分が望むようにデザインできる時代に
生まれてきた。
けれども、その前例が少ないからこそ、私たちは、大変な思いもするのだと思う。
私たちは新しい時代を切り開くパイオニア。

そのことを忘れちゃいけない。
そのためには、前例がないとかいう言葉に邪魔されるのではなく、
新しい例を作る人になりたいよね。

目次

前例を作る人が増えていくことで、時代は変わる

42歳で産休を取られた方が、会社で
「そんな歳で産休かよー、信じられない」と陰口を叩かれていたという話を最近聞いた。

こういうのを聞くと、ああ日本て、悲しい国だなあと思ってしまう。

こういう悪口って、欧米ではあり得ないもの。

そして、そんなことを聞いてしまうと、
40代になっても子どもを持ちたい!と思っている女性たちが
躊躇してしまうかもしれない。

もちろん、自分の人生の方が大事だし、子どもを持つことはもっと素晴らしいことだから、
そんな声を気にする必要はないけど。

「前例がない」
私はこの言葉に、行く手を何度も阻まれた経験がある。
その度に嫌な思いをしながら、必要な時には闘ってきたかもしれない。

「前例がないから」は何かをするのをやめさせる理由には絶対にならない。

だいたい、どんなことも最初にやった人がいるわけで、その人が「前例」を作ってくれたから、
みんなが「こういうのもアリなんだ」とできるようになっていく。

私が以前カウンセラーとして勤めていた大学では、私は時給1000円の非常勤で働いていたので、
30歳を過ぎて、大学院の借金を返しながら生きていくだけのお給料にはならなかった。

ということで、非常勤だし、他のところでも働いてもいいだろうと勝手に判断し、
また、ドラマセラピーを広めていくための活動を頑張りたかったので、
私は空いている時間を、ワークショップをしたり、活動的に動いていた。

ところが、それがバレて、総務の方からお叱りを受けた。
「あなたは公立大学に勤めている、準公務員という立場ですよ!自覚できてるんですか!?」と。

そんなこと言われても、公務員の方のお給料とあまりにも違うし、(まあ、そこまで働いてはいないけど)
公務員でもないので、そんな自覚なんて全然ないし。

とにかくその言い方に、腹が立った私は、給料の低さと、
私が心理の専門性を持った立場であり、いろいろなところで活動することはここでの仕事の質も高めること、
私自身にもその必要があることをはっきりと伝えた。

するとお決まりの
「前例がないので、こういうことは受け入れられない」という答え。

でも私は
「前例がないからできないのではなくて、もともと、相談室は初めて作られ、私が初めて雇われたわけですし、
私は事務職ではないので、私の立場についてちゃんと考えてほしい」
と負けなかった。

だって、すでに色々と仕事が決まってきていて、それは私にはとても重要なことだったし、
大学の仕事になんの迷惑もかけていなかったのだから。

多分、私があまりにもはっきりと物を言ったことと、
総務の1人の方が、私を雇った時から、私の給料を申し訳ないと思っていてくれたこともあったのか、

「前例がないので、そういうことはできないんですが、考えてみます」と言ってくれ、

結局、私は専門性をもつ「先生」として扱われるようになり、総務に手続きをすれば、他の仕事もできるようになった。

そのうち、大学が法人化されたので、そんなこともする必要もなくなり、自由になれたんだけど。

私の後に入った方は、変わり者を雇った「前例」ができたので、もしかしたら多少は待遇が良くなったかもしれない。

どんなことでも、最初にする人は、嫌な思いをするかもしれないけれど、道を拓くというミッションを持った存在だと思う。

私たちが、意識を変えなくては前例は作れない

10年後には、40代での出産はもっと当たり前になっていると思う。

でもその「当たり前」は、今回お話に出てきた、この42歳で出産をされる方のおかげでもある。

ただ、出産という素晴らしいことを、喜んでもらえずに、こんな嫌味を言われるのは寂しいことだけれど、

会社の人たちが、こんな態度なのは、会社の人たちが、「迷惑をかけられている」からじゃないかなとも思う。

日本では、ベビーカーで、ラッシュアワー時に電車に乗られたり、
電車などの中で、子どもが泣いたりしているのを嫌がる人が多いという話をよく耳にする。

でもそれも、「迷惑をかけられている」と感じているからだと思う。

産休、育休は当然の権利としてある感じはするけれど、
でも実際には、会社では、その人が不在の時に、周りの人たちが、
その穴を埋めるために、いっぱい働いてくれてもいるんだと思う。

もしかしたら、自分の仕事の上に、人の仕事をカバーして、
それなのに、給料は全然増えなかったり、給料が多少増えても、自由な時間が奪われてしまったり。

それを考えてみると、会社は、産休や育休を権利として与えていても、
その制度を、本当にみんながハッピーな気持ちで
受け入れられる体制にはできていないんじゃないかな。
どういう制度になるのがいいのかはよくわからないけれど、
産休や育休の人がいても、会社の人たちが何も迷惑をかけられないのであれば、

もっと優しく
「おめでとう!頑張ってね!」
とお祝いできるんじゃないのかな。

誰だって、本当は喜ばしいことをお祝いしたいはずだけれど、
自分が幸せでなかったら、やっぱりお祝いなんて簡単にできないもの。

男性だけではないと思う。女性でも、自分が子どもを持つことがなかったら、
なんだか嫌な思いをしてしまうかもしれない。
だから、産休や育休に対して、否定的に見えてしまうかもしれない。

だったら、これっておかしくない?

なんで私たちばっかり仕事増えちゃうわけ?

子ども産む人は権利があって、

それをカバーする人たちには何もないわけ?

という思いを、どうにかして、新しい制度を作るきっかけにしてくれたらいいなーと思う。

「前例」はないかもしれないけれど、それを理由にせずに、

新しいことを産みだす人が増えてくれたら、私たちはもっと生きやすくなる。
そして40代で子どもを産みたいという人たちが、もっと気持ちよく、出産育児できる環境が整っていくように、
「当たり前」を一緒に作ってくれる仲間が増えるといいな!

それから
自分自身が普段から、会社に迷惑をかけないように、と思いながら働いていると、
誰かが迷惑をかけてくることで、怒りを感じてしまうかもしれない。
だからこそ、迷惑をかけるのはお互い様って感覚も、本当はもてるといいのよね。
そのためにも、多少迷惑をかけることも、自分に許さなくちゃね。

前例がないに邪魔されたら、それはあなたが前例を作る人だから

何か新しいことをやりたいと思って、でも、今までのそんなことをしていた人がいなかったとしたら、

それは
「そんなことをする人はいないから、ダメだ」ということではなくて、

あなたがその道を切り拓く役割を持っているということ。
だから、自分が心から願う生き方を、みんなが作っていってほしいなと思います。

誰もがみんな、自分の人生のパイオニアなんだから。

 

今日もお読みくださりありがとうございました。

関連記事

  1. 私の、母の、祖母の、女性の物語を癒す

  2. コロナを怖がるのではなく、愛から行動できるようになるために

  3. 結婚ができないのは怖いから?ついに覚悟を決める日がきた!

  4. コロナ禍だから、シニアのためのリモートケアを考えたい。

  5. もっと早くやっておけば良かったかも!?運命の人とエネルギーでつながる方…

  6. コロナ対策がよくできているように思える国のリーダーは、女性ばかり。それ…

  7. 現代女性にとってのHOMEとは

  8. 志村けんさんの死は、女性性の時代にどんな意味を持つのだろう?